高速スライダー

伊藤智仁の高速スライダー

横に大きく曲がるスライダーと、小さく早く曲がるスライダーと使い分けていた。今でいうカットボールを既に1998年のシーズンに投げていたという。そして、現役中は、確かにストレートとスライダーの2種類しか投げていなかった。

本人曰く、本当にいいところに決まっていれば、狙われても打たれない程、このボールに自信を持っていた。困ったらスライダー。しかし、ヘコイバッターにスライダーを投げるのはもったいない、と言い、そんな時は、ズドーンとストレートで勝負した、と語る。

スライダーには2つの快感があり、右バッターには空振り、もしくはバットの先っぽ。左バッターには、ひざ元、もしくはインハイで詰まらせる、というパターン。そして、右バッターに向かって行くスライダーは、バッターをピクッとさせることが快感だと言う。

しかし本人も自覚している様に、かなり肘に負担のかかるボールであることに間違いはない。ハイリターン、ハイリスクのあるボールである。現に、本人の伊藤自身も、実働5年で現役を退いている。プロ入り2年目で肩を壊して、3年目がリハビリ、しかし復帰後もあの新人の時の様な、高速スライダーはついに復活しなかった。当時の野村監督は今でも、伊藤智仁の起用法を悔やんでいる、俺が無理に使いすぎたんだと。しかし、鮮烈なデビューを飾った、高速スライダーは今でも野球ファンの脳裏に焼きついている。

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