広島カープの草創期は、県内に公式戦を開催できる基準を満たしている野球場が少なかったことから、時には学校や企業のグランドで試合をすることもあった。
この日、試合会場となった尾道商業高校のグランドはフェンスがなかった。その為、縄で作ったロープを張り巡らしてグランドと観客席を分けていた。
そこで、アクシデントが起こった。
4回表、広島カープの2番打者、白石勝巳が放った打球が、右中間に先制ホームランを放った、直後、相手チームの洋松、小西得郎監督からクレームがついた。
「観客がロープを前に押し出してホームランにした」
外野に陣取った広島ファンが、広島を勝たせたい一心でアシストしたというのだ。
しかし判定は覆らず、それ以来、「白石の縄ホームラン」と呼ばれることとなった。
試合は、洋松打線が連打で2-1と逆転して勝利を得た。
ちなみにこの日の観衆は6千人でいかに広島カープのファンが熱狂的か分かるだろう。
参考文献 プロ野球B級ニュース 日刊スポーツ出版社