曲がらないカーブ
1年生の夏、見事甲子園に出場しました。しかし、桑田は甲子園で勝つ自信は全くありませんでした。なぜなら、変化球が投げられなかったからでした。
「清水先生、カーブが曲がらないんです。」
「甲子園に行ったら曲がるから。」
いいか、普段から肘を廻しとけ!と一言。
寮で一緒に風呂に入った時も、「背中を流せ、右周りや!」「次は左周りや!」
「右手を使え!」
甲子園で、ノーアウトランナー無し、最初に何を投げるんだ「アウトローの真っ直ぐですか?」
アホかお前、風向きをちゃんと見んかい!甲子園は風を味方にするんや。
ライトに吹いてるのか、レフトに吹いているのか投げる前に確認せい!
それから初球を投げるんや!
曲がらないカーブが曲がった
そして甲子園の1回戦の所沢商業戦、試合前の投球練習中に、ボールが滑って抜けそうな感覚がしました。しかし、そのまま投げたら、上手くボールが抜けてカーブが曲がりました。
この時に、抜けるくらいの握りでカーブを投げる感覚を身に着けました。
そしてこの試合からカーブを使い始めました。
バックネット裏で、このゲームをみていた清水先生が試合後、桑田に言いました。
「どうや、桑田、カーブ曲がったやろ」
特別に速い真っ直ぐでなくても詰まらせる
この頃の桑田のピッチングはアウトローの真っ直ぐを中心に投げ、打者が踏み込んでくるとインコースをついて詰まらせる、これがこの当時の桑田の基本のピッチングでした。
これにカーブが加わりピッチングの幅が広がりました。
ストレートとカーブしか投げない
真っ直ぐとカーブだけで、抑えられないピッチャーはプロでもエースになれない。
これは桑田の持論でした。もう、この頃から、プロ野球のエースを目指していたのです。