1964年7月12日川崎球場での出来事
9回の表の巨人の攻撃が始まる直前。レフトの守備に就いていた長田幸男左翼手、目がけてウイスキーの空き瓶が飛んできた。幸い当たる事がなかったが、マナーの悪い観客に激怒した長田は観客に向って「その男を捕まえてくれ」と言ったが、その男は慌てて逃げ出した為、フェンスをのぼって観客席の中へ。
まもなくその男は警備に当たっていた川崎職員に取り押さえられ、長田も現場付近でファンとしばらく話した後、グランドに戻った。
ところが線審の松橋慶季は長田選手に退場を命じた。これは、試合中に観衆に話しかけたり、席を同じくしたり、スタンドに座る事を禁止したりする事は野球規則に反するとした。
再びスタンドは騒然とした。
大洋の三原監督は10分間の抗議をしたが受け入れられず、長田も「守っている時に、紙コップ、そのあとにいきなりウイスキーの空き瓶が飛んできた、もし当たったら怪我をしてしまう、観客に対して、誰かそいつを捕まえてくれと頼んだが無視されたので自分が捕まえてスタンドに飛び込んだ」と訴えたが聞き入れてもらえず、結局退場。
男は、自分の名前を言えないほど酔っていたと言い、
ウイスキーだけに水を差された格好となった。
しかし、9回の裏、2点負けていた大洋は、金光秀憲の左中間への2塁打とクレスの犠牲フライで同点に追いつき、4番桑田武がセンター前ヒットを放ち見事サヨナラ勝ち。
プロ野球B級ニュース事件簿 日刊スポーツ出版社