生涯唯一の1安打で完全試合を阻止した選手

巨人のエース別所毅彦が完璧な投球をし、9回2死までパーフェクト。大記録目前で、松竹は投手の代わりに、代打に19歳の神崎安隆を送り出した。

最後の打者が投手では、あまりにも格好が悪い。せめて完全試合をやられるなら、投手よりも野手の方がいい、程度の考えだった。相手チームも味方チームも完全試合信じて疑わなかった。

その通り、打てないみた神崎は2度続けてセーフモードバントを試みたがいづれもファウルとなり、別所が自信をもって投げた2-1からの4球目の内角のストレートで決まったかと思ったが主審の金政の判定はボール。マウンドの別所は抗議をしたが覆るわけもない。

頭に血がのぼったまま投げた5球目もボール。2-3となり、絶対にストライクを投げなければならない次のボールは真ん中へストレートを投じた。

神崎はかろうじてバットに当てたが、ボテボテのショートゴロ。通常であれば簡単に捕球してゲームセット。ところが前日に降った雨の影響で、ぬかるんだグランドが球足を止め、平内野安打になった。

神崎は昭和29年に広島を最後に引退したが、実働3年で通算成績は9打数1安打だった。

つまり、別所の完全試合を阻止した1打が唯一の安打となった。

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