巨人軍の名物寮長武宮敏明

33年間、新丸子の巨人軍合宿所の寮長を勤めた鬼軍曹。

しつけは厳しく、朝食はきちんと着替えて食べ、部屋は常に整理整頓しておかねば雷が落ちる。
門限破りは、見つかると竹刀でぼこぼこの制裁。
仲間に二階の窓を開けておいてもらい、木に登って入るという手口がわかるとその木を切り倒してしまう。

朝帰りした王さんは、予めポケットにしのばせておいた歯ブラシで歯を磨きながら、何食わぬ顔で「おはようございます!」と誤魔化した。

なかでも堀内が常習犯。

ある日、明寮長も堀内が毎夜、寮を抜け出していた事に気づかなかったが、毎晩、風呂場の窓の鍵を開けて悠々お出かけ、ご帰還はいつも同じ窓からの安全帰宅。ちゃんと鍵をかけていた。ところが、そのうち名寮長は、かけたはずの鍵が空いている事を発見する。そこで、寮長は、夜遅く帰ってくるこの悪太郎の為に一計を案じた。窓の下にある、風呂桶のお湯は、すっかり抜いてしまっているのに、その夜は湯を抜かずに、たっぷりと溜めておいて、悪太郎の帰りを待った。

そうとは知らない悪太郎。いつも様に窓から巧妙に侵入、カラの湯船に無事降り立った、と思った瞬間、「パシャリ」。高級スーツ、革靴もろとも入浴の身となった。

音を聞きつけた寮長が素知らぬふりをして廊下を歩いて行くと、びしょ濡れの悪太郎とご対面。

「なんじゃ、おまえ、びしょ濡れで」「え、ハ、ハイ、大雨が降っていました」

「バッカモン、雨なんか降っとらんぞ」と

この勝負は名寮長の勝ち。

それでも、門限破りをした翌日、掘内は見事完封勝ち。

寮に戻ってくると、賞品のお酒一升瓶を、この名寮長に差し出す。

「オヤジ、プレゼントだ」

こうして、二人は祝杯をあげた。

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