4月22日DeNAベイスターズ対中日ドラゴンズ6回戦での出来事。
4回の表、ノーアウトランナー1.2塁で、バッターの平田良介がファーストゴロを放ちました。一塁手のソトが捕球して、セカンドに送球して1塁ランナーを封殺。捕球した柴田が1塁に転送し併殺を狙いましたが、悪送球になりベースカバーに入った投手濱口のグラブの当たり、後方へそれました。それを見た2塁ランナーの高橋周平が本塁に向いましたが、何と、一塁ベースコーチの荒木コーチの体に当たって止まり、濱口が送球して走者高橋は三本間に挟まれてアウトになりました。
珍しいプレーによって併殺となり、惜しくも先制点はドラゴンズに入りませんでした。
荒木コーチにとってもドラゴンズにとっても「痛い」プレーとなりました。
日本シリーズでの石コロ事件
このプレーで思い出されるのが、1982年のドラゴンズ対ライオンズの日本シリーズ第5戦。
0対0で迎えた3回の表ドラゴンズは2死2塁のチャンス。
ここで2番バッターの平野謙の打球は1塁手田淵の右を痛烈に破り長打コース、誰もがドラゴンズに先制点が入ると思いました。ところが、この打球が1塁塁審の右足に当たって、2塁手の前に転がり、転々。この時、完全に抜けたと思った2塁ランナー田尾安志は3塁を回りかけていました。これを見た2塁手の山崎裕之は捕球後、すかさず3塁に送球。
走者の田尾が三塁に戻るも、間一髪タッチアウトとなり先制点は幻となりました。
野球規則では、審判員に打球が当たっても石コロに当たってイレギュラーバウンドするのと同じ解釈となる為、田尾は走塁死となりました。
結局、この試合は惜しくもドラゴンズが3対1で敗れ、続く第6戦もライオンズが勝利し初の日本一に輝きました。
もし、この時先制点がドラゴンズに入ればこの試合は有利に運び、勝利し、今後の日本シリーズの結果も大きく変わったかもしれません。
この、石コロ事件は、日本シリーズの優勝を左右する大きなプレーとなりました。
口火はまたも平田良介
そしてもう一度、話を現代に戻します。
この試合、荒木コーチの体に当たり不運にランナーがアウトになり点が入りませんでしたが、9回にドラマがやってきました。
0対0の9回の表ドラゴンズの攻撃もツーアウトとなり、この試合も勝利とはならず、と思われました。
ところがドラマは9回ツーアウトから生まれました。
4回の打席でファーストゴロに倒れた平田良介が、しぶとくレフト前にヒット。
ここで与田監督は代走に、売り出し中の若手、俊足の高松渡を送りました。
1塁に代走の高松渡を置き、次打者、木下拓哉がセンター前に抜ける打球を放ちましたが、ベイスターズのショートがこの打球に追いつき好捕、一塁へ送球。
見事、「ファインプレー!」かと思いきや、この送球が悪送球となり一塁手が後逸。
しかも、バッターランナーの木下に当たりライト方向にそれました。それを見た俊足ランナーの高松は、2塁3塁を廻り、ホームへヘッドスライディング!
ホーム送球も間に合わず、間一髪セーフとなりました。
そして、この1点が決勝点となりドラゴンズが見事勝利しました。
今日は、送球がコーチ、そして選手に当たるなど珍しいプレーが起き、それが一度は点を阻み、もう一度は決勝点になるなど、ドラマチック試合となりました。
野球はまさに、最後まで何が起こるか分からないスポーツです。