侍ジャパン見事な金メダル

北京から13年の月日が流れついに金メダル。地元東京開催で、しかもソフトボール女子と同時受賞。

思えば、1984年のロサンゼルスオリンピックの公開競技で金メダルを獲得し、それから長い年月が経ちました。

この時は、大学生7人、社会人12人のアマチュアだけの構成で、広沢克己が台湾のエース郭泰源からホームランを放ち6-3で見事、勝利しました。

アテネオリンピックでは、長嶋監督が脳梗塞で倒れ、急遽中畑監督が指揮を執りましたが、惜しくも銅メダル。北京では星野監督のもと、金メダルを目指しましたがメダルを獲れず4位となり、侍ジャパンにとって今回のメダル獲得は悲願でした。

この試合、アメリカチームの先発はマルチネス。

このマルチネスは昨年まではファイターズに在籍、そして今年、ソフトバンクに移籍すると急成長。7勝をあげてエース級の働きをし、日本人のコーチが教え育てたアメリカ人選手です。150キロの速球とカットボール、チェンジアップを駆使して好投。

しかし、8番に甘んじていた、スワローズの若き主砲、村上宗隆が決め球のチェンジアップをフルスイングすると、左中間スタンドギリギリに飛び込むホームランで先制しました。

先発の森下暢仁は5イニング3安打5奪三振と先発の働きを全うすると、千賀滉大、伊藤大海、岩崎優、と無失点リレー。

8回にこのオリンピック好調の山田哲人がヤクルト同僚のマクガフから、ヒットで出塁。

続く、吉田正尚がセンター前にヒットを放つと、暴投で山田が生還して貴重な1点をもぎ取りました。

こうなれば、抑えは栗林良史が登板。3人を簡単に抑えて、見事勝利。

日本チームは、好調、不調の選手の見極めがしっかり出来ていました。

好調の坂本勇人、山田哲人、吉田正尚、の3人を固定して並べ、バランスを考えて村上もあえて下位打線から動かしませんでした。不調の鈴木誠也も我慢してそのまま4番を固定し、打てなくても四球を選び、そして今日は2安打を放ちました。

一方のアメリカチームはメジャーリーガーが不参加で日本在住の外国人が主体。

今日先発のマルチネス、マクガフ、ベイスターズのオースティン、元オリックスのディクソン、元日本ハムのカーター、そして3Aの若手有望株トリストン・カサスが4番を打ち、シェーン・バズがエースとして登板。

それぞれ、いいパフォーマンスをみせましたが日本の実力の方が勝っていました。

日本はミスが少なく、緻密な野球、チームプレーに徹したことが大きな要因。野球とベースボールの違いが大きく結果として現れました。

地元の東京オリンピックで悲願の金メダル、長嶋監督、星野監督も成しえなかった夢を稲葉監督が叶えました。

43歳 バルデスは未だ健在

バルデスおじさんは43歳で未だに元気。

ドミニカ共和国に懐かしい顔がありました。元、ドラゴンズのラウル・バルデスです。

この東京オリンピックに野球代表として来日しました。

8月7日に行われるオリンピック野球競技の3位決定戦、ドミニカ共和国対韓国の試合にこのバルデスが先発することが発表されました。

前回も同じ韓国戦で、5回3/2を投げ、111球、1失点と好投しました。

中6日での登板になります。

苦労人の亡命者

バルデスは苦労人で、キューバ出身ですがアメリカを目指し、筏に乗って亡命を試みました。その度に失敗する事4回。5回目にしてドミニカに初めて脱出。しかし、兄はその時、亡命の手助けをした罪で10年間、刑務所暮らしになりました。

亡命後も、すぐにメジャーリーガーになれるわけでもなく、何度か契約と解雇を繰り返し、メジャーリーグに昇格しました。この時すでに32歳でした。

そして、バルデスは、2015年にドラゴンズにやってきました。

初年度は、いいピッチングをするも勝ち星に見放され、中4日の登板もこなしながら9先発、クオリティスタートを8度達成しましたが0勝4敗。

この年は結局、22試合に登板し、5勝8敗。しかし、防御率は、3.18と安定した投球を見せていました。翌年も、6勝7敗 防御率3.51の成績を残すも、何故か勝ち星に見放されていました。

好投しても勝てない

バルデスは、テークバックが小さく、腕の出どころが分かりづらく、テンポよく投げ込んできます。その証拠に2年連続でスピードアップ賞を受賞しています。最高球速は137キロと早くありませんが、テークバックが短く、タイミングが合わず打者が差し込まれるシーンが多くありました。日本人で例えるとソフトバンクの和田毅に似たタイプで、球にキレがあり、見逃し三振が多いのが特徴でした。

しかし、何故か投げる試合に味方の援護点がなく、勝ち運のないピッチャーでした。

中1日で先発したオールスター

2017年のシーズンを迎えると、勝ち運は更に見放され、7回まで1点に抑えて、自らホームランを放ってもリリーフが打たれ勝ちが付かないゲームもあるなど、防御率2.01に抑えながらわずか1勝と勝利に結びつきませんでした。

しかし、バルデスに同情の声が集まり、オールスターファン投票、投手部門2位で選出されるなど、監督推薦でオールスターに出場しました。野球ファンが後押ししたのです。

その声にバルデスが自らオールスターで答え、シーズン中ペナントレースからの中1日で先発登板し好投しました。この好投には、ドラゴンズファンは胸が熱くなりました。

今でもやっぱりバルデスはバルデスだった

そして、東京オリンピックでは8月1日の予選リーグ韓国戦に先発。現在43歳ですが、その投球術は未だ健在でした。打たせて取るテンポの良い投球で6回まで1失点の好投。

見方も、元、巨人のフランシスコの特大ホームランを放つなどで3-1とリード。

しかし、9回に韓国が反撃、同点に追いつくと、2死2塁からキム・ヒョンス(中日のイ・ジョンボムの息子)のライトの頭上を越えるタイムリーを放ち、韓国の劇的なサヨナラ勝ちをおさめました。

このオリンピックでも、やっぱりバルデスは、「勝ち運の無い」あの時のバルデスのままでした。

木下雄介選手の訃報

木下雄介

入院中の危篤だった木下雄介選手が、83日に死亡していた事が判明しました。

ショッキングな出来事です。あの魂のこもったストレートはもう二度とみられません。思えば、プロ初セーブの時も、しつこいくらいストレートばかり投げていました。

 76日のナゴヤ球場でトレーニングをし、グランドで練習中に倒れました。その後、心肺が停止してしまった為、トレーナーが駆け付けAEDの蘇生措置をして、名古屋市内の病院に救急搬送されました。しかし、意識は戻らず、83日に豊明市内の病院で亡くなりました。

ドラゴンズでは、628日に新型コロナウィルスのワクチンの職域接種を受けており、ワクチン接種との因果関係はわかっていません。

 波乱万丈な野球人生

木下雄介さんは、駒澤大学時代に右肩を壊して中退しました。

不動産会社にてアルバイト生活をしていましたが、四国選抜チームで同期だったジャイアンツの増田大輝が四国アイランドリーグで活躍しているのに刺激を受け、NPBを目指して、四国アイランドリーグ徳島インディゴソックスにテスト生として入団。

 しかし、ブランクの影響が大きく、初年度は防御率も5点台。2年目は防御率3.45でしたが、北米選抜チームに選ばれるなどして注目をされてきました。

そして将来を見据え2016年ドラゴンズが、支度金200万で育成選手として契約。入団会見では妻子と一緒に会見場に現れました。

2018年に育成選手で唯一春のキャンプに参加し、その年の春、支配下選手となりました。

 2020年には、1軍に上がり、95日のヤクルト戦の10回裏に登板。最速152キロの速球を投げ2点を守り、嬉しいプロ初セーブを上げました。

プロ入り初セーブ

この試合は、ラジオ実況放送で聞いていましたが、この日の投球は真っ直ぐばかりで、気持ちのこもった熱い投球をしていました。きっと、今までの苦労した思いがボールにぶつけていたのでしょう。

 今年の春のキャンプで、評論家で元、タイガースの藤川球児さんが12球団でナンバーワンになれるストレートと絶賛していました。ホップ率が非常に高く,ボールの回転軸も地面に対して垂直で打者から球が浮きあがるように見えると評していました。

 しかし、何故、木下選手だけこんなに不運が重なるのでしょう。

 重なる不運

2019年にお父さんの交通事故で不慮の死。清掃回収業務中に車にはねられてお亡くなりになりました。

 2020年には1軍キャンプにて右足首(腓骨筋腱脱臼)を負傷し、手術し復帰までに4カ月を要しました。

 2021 最後のオープン戦で登板中に右肩脱臼の大けがをしてそのまま、担架で運ばれて病院へ。

手術後に新たに右肘に靭帯損が判明してトミージョン手術を行いました。

 父親が亡くなった時も、「どんな時も仕事は絶対に休むな、」が口癖だったとの事でその日も2軍戦に登板し、翌日も通夜が営まれているにも関わらず、暗い顔も見せずに練習に参加をしていたそうです。

ドラゴンズの選手達は628日に新型コロナワクチンの職域接種を受けています。まさか、木下選手、この時もお父さんの言いつけを守ってしまったのでしょうか?ワクチン接種後にトレーニングを再開したと聞いています。すぐに激しい運動をし過ぎたのではないでしょうか?

 享年27歳。ご冥福をお祈り致します。

 

山田哲人が狙いすました初球攻撃

殊勲打はいつも初球攻撃

ポイントはもちろん、8回2死満塁での山田哲人の打席。

始めから初球を狙っていた様なスイングでレフトフェンスにダイレクトで当たり、走者一掃の2塁打で3点が入りました。相手ピッチャーが変化球でストライクが入らず、初球にストレートが来ることを予測して山田が決めました。打ち損じがなく一振りで決めたところに価値があります。

しかし、この回に韓国のミスが出たのが大きく響きました。

野球ではミスをした方が負ける

近藤がファーストゴロで、普通に処理をしていれば併殺でこの回はチェンジでした。ところがピッチャーのベースカバーが遅れ併殺に出来きず、その後、ワイルドピッチでランナーが進み、ファボールが絡み山田が走者一掃のタイムリー2塁打。

野球ではミスをした方が負けるのです。

坂本も好調をキープ。3回に、当たっている山田哲人に送りバントをさせ、続く坂本がいい当たりのセンターフライが犠牲フライになり先制点が入りました。この先制点が山本由伸のピッチングを楽にしました。国際試合では先制点が大事になるのです。

韓国打者の執念

しかし、あの山本由伸から同点に追いついた韓国の打者の技術には驚かされました。

低めの見送ればボールになる様な、難しいボールを反対方向にタイムリーを放つなど韓国打者の執念を感じました。

このオリンピック、各選手の出来、不出来がはっきりしてきました。

投手では、青柳、岩崎、平良。

打者は、鈴木誠也、浅村、菊池。

このままでは終わる選手達ではありません、是非、奮起を期待したいですね。

このオリンピック侍ジャパン、各打者の積極性が目立ちます、坂本のサヨナラも初球、甲斐のサヨナラも、そして今日の山田も初球。

今後もチャンスでの初球に注目です。

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