43歳 バルデスは未だ健在

バルデスおじさんは43歳で未だに元気。

ドミニカ共和国に懐かしい顔がありました。元、ドラゴンズのラウル・バルデスです。

この東京オリンピックに野球代表として来日しました。

8月7日に行われるオリンピック野球競技の3位決定戦、ドミニカ共和国対韓国の試合にこのバルデスが先発することが発表されました。

前回も同じ韓国戦で、5回3/2を投げ、111球、1失点と好投しました。

中6日での登板になります。

苦労人の亡命者

バルデスは苦労人で、キューバ出身ですがアメリカを目指し、筏に乗って亡命を試みました。その度に失敗する事4回。5回目にしてドミニカに初めて脱出。しかし、兄はその時、亡命の手助けをした罪で10年間、刑務所暮らしになりました。

亡命後も、すぐにメジャーリーガーになれるわけでもなく、何度か契約と解雇を繰り返し、メジャーリーグに昇格しました。この時すでに32歳でした。

そして、バルデスは、2015年にドラゴンズにやってきました。

初年度は、いいピッチングをするも勝ち星に見放され、中4日の登板もこなしながら9先発、クオリティスタートを8度達成しましたが0勝4敗。

この年は結局、22試合に登板し、5勝8敗。しかし、防御率は、3.18と安定した投球を見せていました。翌年も、6勝7敗 防御率3.51の成績を残すも、何故か勝ち星に見放されていました。

好投しても勝てない

バルデスは、テークバックが小さく、腕の出どころが分かりづらく、テンポよく投げ込んできます。その証拠に2年連続でスピードアップ賞を受賞しています。最高球速は137キロと早くありませんが、テークバックが短く、タイミングが合わず打者が差し込まれるシーンが多くありました。日本人で例えるとソフトバンクの和田毅に似たタイプで、球にキレがあり、見逃し三振が多いのが特徴でした。

しかし、何故か投げる試合に味方の援護点がなく、勝ち運のないピッチャーでした。

中1日で先発したオールスター

2017年のシーズンを迎えると、勝ち運は更に見放され、7回まで1点に抑えて、自らホームランを放ってもリリーフが打たれ勝ちが付かないゲームもあるなど、防御率2.01に抑えながらわずか1勝と勝利に結びつきませんでした。

しかし、バルデスに同情の声が集まり、オールスターファン投票、投手部門2位で選出されるなど、監督推薦でオールスターに出場しました。野球ファンが後押ししたのです。

その声にバルデスが自らオールスターで答え、シーズン中ペナントレースからの中1日で先発登板し好投しました。この好投には、ドラゴンズファンは胸が熱くなりました。

今でもやっぱりバルデスはバルデスだった

そして、東京オリンピックでは8月1日の予選リーグ韓国戦に先発。現在43歳ですが、その投球術は未だ健在でした。打たせて取るテンポの良い投球で6回まで1失点の好投。

見方も、元、巨人のフランシスコの特大ホームランを放つなどで3-1とリード。

しかし、9回に韓国が反撃、同点に追いつくと、2死2塁からキム・ヒョンス(中日のイ・ジョンボムの息子)のライトの頭上を越えるタイムリーを放ち、韓国の劇的なサヨナラ勝ちをおさめました。

このオリンピックでも、やっぱりバルデスは、「勝ち運の無い」あの時のバルデスのままでした。

木下雄介選手の訃報

木下雄介

入院中の危篤だった木下雄介選手が、83日に死亡していた事が判明しました。

ショッキングな出来事です。あの魂のこもったストレートはもう二度とみられません。思えば、プロ初セーブの時も、しつこいくらいストレートばかり投げていました。

 76日のナゴヤ球場でトレーニングをし、グランドで練習中に倒れました。その後、心肺が停止してしまった為、トレーナーが駆け付けAEDの蘇生措置をして、名古屋市内の病院に救急搬送されました。しかし、意識は戻らず、83日に豊明市内の病院で亡くなりました。

ドラゴンズでは、628日に新型コロナウィルスのワクチンの職域接種を受けており、ワクチン接種との因果関係はわかっていません。

 波乱万丈な野球人生

木下雄介さんは、駒澤大学時代に右肩を壊して中退しました。

不動産会社にてアルバイト生活をしていましたが、四国選抜チームで同期だったジャイアンツの増田大輝が四国アイランドリーグで活躍しているのに刺激を受け、NPBを目指して、四国アイランドリーグ徳島インディゴソックスにテスト生として入団。

 しかし、ブランクの影響が大きく、初年度は防御率も5点台。2年目は防御率3.45でしたが、北米選抜チームに選ばれるなどして注目をされてきました。

そして将来を見据え2016年ドラゴンズが、支度金200万で育成選手として契約。入団会見では妻子と一緒に会見場に現れました。

2018年に育成選手で唯一春のキャンプに参加し、その年の春、支配下選手となりました。

 2020年には、1軍に上がり、95日のヤクルト戦の10回裏に登板。最速152キロの速球を投げ2点を守り、嬉しいプロ初セーブを上げました。

プロ入り初セーブ

この試合は、ラジオ実況放送で聞いていましたが、この日の投球は真っ直ぐばかりで、気持ちのこもった熱い投球をしていました。きっと、今までの苦労した思いがボールにぶつけていたのでしょう。

 今年の春のキャンプで、評論家で元、タイガースの藤川球児さんが12球団でナンバーワンになれるストレートと絶賛していました。ホップ率が非常に高く,ボールの回転軸も地面に対して垂直で打者から球が浮きあがるように見えると評していました。

 しかし、何故、木下選手だけこんなに不運が重なるのでしょう。

 重なる不運

2019年にお父さんの交通事故で不慮の死。清掃回収業務中に車にはねられてお亡くなりになりました。

 2020年には1軍キャンプにて右足首(腓骨筋腱脱臼)を負傷し、手術し復帰までに4カ月を要しました。

 2021 最後のオープン戦で登板中に右肩脱臼の大けがをしてそのまま、担架で運ばれて病院へ。

手術後に新たに右肘に靭帯損が判明してトミージョン手術を行いました。

 父親が亡くなった時も、「どんな時も仕事は絶対に休むな、」が口癖だったとの事でその日も2軍戦に登板し、翌日も通夜が営まれているにも関わらず、暗い顔も見せずに練習に参加をしていたそうです。

ドラゴンズの選手達は628日に新型コロナワクチンの職域接種を受けています。まさか、木下選手、この時もお父さんの言いつけを守ってしまったのでしょうか?ワクチン接種後にトレーニングを再開したと聞いています。すぐに激しい運動をし過ぎたのではないでしょうか?

 享年27歳。ご冥福をお祈り致します。

 

注目のイスラエルが敗者復活戦でドミニカと対戦

イスラエル野球

イスラエルの野球事情

2017年のWBCで突如、野球の国際舞台に現れ、第一次予選ラウンドは死の組、韓国、台湾、オランダを撃破し、続く2次ラウンドであの、キューバを倒し世界を驚かせました。

野球人口はわずか5000人。しかし、今回の野球チームはロースター24人中、本国からの参加は3人のみ。残りはアメリカ在住のユダヤ人コミュニティ。ほとんどの選手が2A、3Aの選手達、もしくは独立リーグに所属している引退したメジャーリーグ経験者。

どうしても格下の選手の寄せ集め的な、チームの印象が否めません。

アメリカで9試合オープン戦を行いこのオリンピックに照準を合わせて日本にやってきました。

イスラエルが先手を奪う

ドミニカの先発は、ジャイアンツのメルセデス。初回から好投をみせていましたが、5回にイスラエルの集中打を浴び4点を献上。

しかし、ドミニカは6回に怒涛の反撃で同点とすると、7回にはグズマンのライトスタンドへの勝ち越しホームランを放ち逆転。

しかし、シーソーゲームのこの試合、何が起こるか分かりません。イスラエルが8回無死1塁から2番打者のバレンシアが再び逆転となるツーランホームランを叩き込みました。

野球は下駄を履くまで分からない

このまま最終回、イスラエルが1点のリードを守り切れば大金星でしたが、野球の神様はそうは簡単に勝たせてはくれません。

ドミニカ先頭打者のミエセスがレフトスタンド最上段に同点ホームランを放つと、この後、1死1.3塁のチャンスを作り、メジャーリーグ通算344本塁打のバティスタがレフト前にサヨナラヒットを放ちドミニカが劇的なサヨナラ勝ちを飾りました。

もうあと1イニングで勝利というところまで来ましたが、勝利の女神はイスラエルに微笑んではくれませんでした。

惜しくも、野球後進国のイスラエルはこのオリンピックを去りますが、この先も夢をあきらめずに、これから先も、世界大会に参加し強豪国を苦しめて欲しい。

イスラエル野球チームに注目

イスラエル野球チームが、健闘しています。

2017年のWBCの予選では、あの韓国を破り、翌日には台湾を撃破して、世界を驚かせました。予選を全勝で勝ち上がると2次ラウンドで日本と5回まではスコアレスの接戦を演じ、結局8-5で惜しくも日本に敗れましたが、一躍注目を浴びたイスラエル野球チーム。

今回の東京オリンピック予選も、アフリカ、欧州予選を勝ち抜いて、あの強豪オランダを破って本大会を一番乗りで決めました。

東京オリンピック、8月1日に行われたノックアウトステージで、イスラエル代表とメキシコ代表が対戦しました。

イスラエルが初回から猛攻をみせ3回の表まで6-0とリード。しかし、メキシコも反撃し、6回まで1点差まで詰めよりました。しかし、イスラエルは7回に再び打者一巡の猛攻で6点を挙げ、そのまま逃げ切りました。

次回は、ドミニカ、韓国の勝者と対戦します。

この結果、野球先進国のメキシコが姿を消すことになりました。 世界ランクは24位で、このオリンピック最下位ですが、旋風を巻き起こして欲しいですね。

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