甲子園バックスクリーン3連発の想い出

当時、学生だった僕は、白黒のポータブルテレビの小さな画面で、この試合を観戦していた。

まさか、こんな大きな出来事になるなんて思わなかった。

寮での食事を終え、何気なく阪神巨人戦を見ていた。

ドラゴンズファンの僕は、試合の勝ち負けはどうでもよく、大阪に住んでいたのでドラゴンズのテレビ、ラジオ中継もなかった。もちろん、30年以上前の出来事だったのでインターネットの一球速報もない。

三畳一間の小さな部屋、両手を伸ばせば壁から壁まで届くような箱の中で観戦していた。

それは4月17日の甲子園球場で行われた、阪神対巨人戦での出来事だった。

試合も終盤の7回を迎え、3-1で巨人が2点リードの場面で、3番バースが打席に入った。

直前の打席で、シュートに詰まらされてショートゴロ併殺打に打ち取られていたバースはそのシュートに的を絞っていた。

ややクローズに構えていたところに、143キロのシュート系の球が来たので、センター方向に向かって叩いた。打球は低いライナーで、バックスクリーンに飛び込み逆転スリーランとなり、甲子園球場は興奮のルツボとなった。普段は、冷静なバースもこの時だけは、ベースを廻りながらガッツポーズをした。

続く、打席に入った掛布は、直前のバースの逆転スリーランの余韻が球場を包み込んでいたのを嫌い、その余韻を消して勝負に徹したかった掛布は、槇原の投球をわざと2球目までを見送ったという。

掛布も前の打席で、ストレートを三振に取られていたので、自分にはストレートを投げてくるだろうと直球に的を絞っていた。その直球が来たので振りにいったが、差し込まれたので、少し体を後ろに引きながら左手をかぶせて押し込んだという。凡人には理解出来ない技術で、バックスクリーンやや左へ打ち込んだ。

次打者の岡田はもうホームランしか狙っていなかった。

前の2人が、直球を打たれているからもう自分には、変化球しか投げてこないだろう、と思い、岡田はスライダーを待っていた。そのスライダーが外角に来た時、普段であればライト方向に打つコース球種であるが、この時岡田は、踏み込んでセンターに打ち返した。

打球は、そのまま、バックスクリーンに飛び込み、ここにバックスクリーン三連発が完成した。

この時の打球を見送る、センタークロマティの背中が寂しかったのを覚えている。ちなみに、岡田の後を打った6番佐野は、ショートゴロに倒れている。

この試合は、9回の表に巨人が追い上げたが、6-5で阪神が勝利しました。

この試合の出来事が、この年の阪神の神懸かり的な優勝に繋がったのは間違いない。

余談だが、当時小学生だった、中村紀洋がレフトスタンドでこの試合を観戦していました。

    PAGE TOP
    %d人のブロガーが「いいね」をつけました。