浜風に乗ったバックホーム

1996年の夏の甲子園の決勝戦での奇跡                   それは、熊本工業と松山商業の決勝戦での最終回に起こりました。

9回2死からの同点本塁打

熊本工業が2-3の1点ビハインドの9回も2死となり、あとアウト1つで優勝の場面。

ここで唯一の1年生、澤田が松山商業のエース新田の初球のストレートを捉えると、レフトスタンドのポール際へ飛び込む起死回生のホームランとなりました。

飛び跳ねながら塁上を廻る澤田、そしてマウンドに膝まずく投手の新田。

しかし、ドラマはこれから始まるのです。

出典 Wikipedia Public domain

直前の守備交代で起こったドラマ

同点で迎えた延長10回裏、熊本工業の攻撃はワンアウト満塁の絶好のサヨナラの場面。

しかも、そのまま優勝が決まる、手に汗握る場面。

この絶体絶命の場面で、松山商業の澤田監督は、守備固めにライトを交代させました。

矢野勝嗣選手は急遽、ウォーミングもろくにせずに、腕をぐるぐる廻してライトに向けてベンチを出ました。イニングの頭からではなく、満塁になってからの交代です。

ライトには、先発した投手新田が入っていましたが、監督には、過酷な練習に耐えてきた矢野への信頼がありました。

                   

代わったところに打球は飛ぶ

サヨナラで優勝が懸かるこの大事な場面。

熊本工業の左打者の本多は、すかさず初球を思いっきり、引っ叩きました。

その打球は、ライトへの大飛球。そして甲子園のスタンド全体から大歓声が上がる。

実況アナウンサーさえも、「いったー、これは文句なし」と伝えました。

打たれた瞬間、松山商業の渡辺投手はホームランだと。打った本多は犠牲フライになると、思いました。

そして走者の星子選手は50メートル5秒9の俊足で、誰もが熊本工業のサヨナラを確信しました。

ただ、1人を除いては…。

その大飛球は、甲子園名物の浜風に打球は押し流され、そのライトの矢野が背走し、一瞬見失うも、前進して掴みました。そして、力任せの懸命のバックホーム。

外野手からのホームへの返球は通常、ワンバウンドで放るのが鉄則。

しかし、サヨナラのケースだけは、監督の教えを守り、矢野はホームへ全力のノーバウンドで投げました。

まさにストライクの返球。キャッチャーが掴んだところに走者が滑り込んで来て、間一髪タッチアウト。ここしかない所にドンピシャの返球が来ました。

その後、勢いに乗った松山商業は、その矢野が先頭で2塁打を放ち、スクイズを絡めて3

得点。11回の裏を守り切り見事優勝を飾りました。

野球の神様はいる

もし、低い送球でワンバウンドだったら、サヨナラ負けだったでしょう。

バックホームへの返球も浜風に乗ることもある。

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