打率4割に最も近づいた打者ウォーレン・クロマティ

4割打者はメジャーリーグでも1941年(昭和16年)のテッド・ウィリアムスを最後に出現していません。そして、日本においてはまだ誰も成し遂げていないアンタッチャブルな領域です。

そしてシーズン最高打率はセ・リーグでは、ランディ・バース(阪神)の.389厘。パ・リーグは1994年のイチロー(オリックス)の.385厘となっています。

もしもストライクゾーンが前年と同じだったら

この1986年のランディ・バースのケースはあまり知られていませんが、この年より、ストライクゾーンが膝まで、だったのが膝下までにあり、つまりボール1個分広くなりました。特に変更初年度ということもあり、厳しくストライクゾーンを下げていました。その中での記録です。もし、これが前年と同様なストライクゾーンであれば4割達成していたかも、と考えてしまいます。

しかし、この2人よりも4割に限りなく近づいた男がいました。ジャイアンツのウォーレン・クロマティです。1986年のバース、1994年のイチローは共に開幕から69試合目を最後に4割から転落すると、再び4割に戻る事はありませんでした。

4割を達成していたクロマティ

しかし、1989年のクロマティは開幕から96試合目(チームとしては97試合目)の8月20日の時点で打率.401厘でした。打席は既に404と規定打席を超えていたのですから、その後、欠場すれば日本プロ野球史上初の4割打者が誕生していました。しかし、残り試合は33試合もあり、チームの主力でクリーンアップを任されていたのでとても許されません。次の8月22日のヤクルト戦で4打数ノーヒットに終わると打率は.397厘とダウンしました。

この年のクロマティは、5月末の時点で.424厘と快調に打っていましたが次第に低下し、7月6日には.281厘まで下がっていました。8月9日に再び4割台に復帰し、8月16日の大洋戦は4打数1安打で.299厘に落ちましたが、翌日同じカードで3打数2安打で1日で402厘に戻しています。

しかし、アキレス腱を傷めて試合を欠場する事もあって、4割を下回り、8月24日のヤクルト戦では3打数2安打を放ち399厘まできましたがこれが、目いっぱいでした。

8月25日から31日までの5試合は14打数4安打で.395厘とすると9月2日からのヤクルト3連戦は11打数1安打に終わって.886厘まで落ちました。

結局、閉幕した時は打率378厘でした。

しかし、こうしてクロマティが、アンタッチャブルな記録に近づいていくスリリングさは、プロ野球の醍醐味を感じました。

この記録に近づいていく選手は?

もしもイチローが日本でプレーし、1番でなく他の打順で打席に立ったら、もしかしたら達成していたかもしれません。1番打者は最初の打席に立つときに間違いなくランナーがいません。もし、仮に1塁ランナーが入れば1.2塁間は広くなるわけですから。1打席は損をしているのです。また、1番はどうしても打席数が多くなります。

現役選手では、オリックスの吉田正尚でしょう。あのバットコントロールと三振しないミート力は可能性を感じます。クリーンアップを打っているだけに、長打を期待される場面があり、「ヒットに徹していたら」と思ってしまいます。

生きているうちに、夢の4割打者の出現が見たいものですね。

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