野球界では、1球投げただけで、勝利になるケースや、1球だけで敗戦投手になるケース。もしくは、1球セーブ、1球ホールドなど様々な、「1球」があります。
ところが先発投手が1球投げただけで、敗戦になる、大変珍しい試合がありました。 残念ながら、プロ野球ではありません。大学野球の試合で、たった1度だけ記録されています。
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先発投手が先頭打者に1球だけ投げて、ヒットもしくはホームランを打たれて、何かしらのアクシデントがあり、突然交代しマウンドを降りる。その後、その投手に負けが着いたまま、試合が終わるなんて事は、そうそう考えられません。
そもそも、先発投手が1球投げただけで降板するケースもほとんどないからです。
そんなことが、2016年11月12日の明治神宮大会の大学野球 1回戦で起こりました。
東海大北海道対日本文理大での試合。
日本文理大の先発投手、弘中裕太は、東海大北海道のトップバッター竹中悟に対して初球を投じました。その140キロのストレートを竹中選手がはじき返すと、弘中投手の顔面をかすめて、センター前へのヒットとなりました。
1球投げただけで交代
無死ランナー1塁となりましたが、日本文理大 中村監督が交代を告げマウンドを2番手に託しました。しかし、その後、ピンチが膨らみそのまま、この初回に得点が入りました。そして、初回に入ったこの1点がこの試合の決勝点となりました。
弘中投手の出したランナーが生還した為、そのまま敗戦が記録されたのです。
指揮官の中村監督は、弘中はチームの中で一番球が速く「ゲームの始めに流れを作りたかった」相手チームへ「面食らわせてみたかった」とコメント。
この弘中投手は、1年生の大学選手権の予選で投げて以来、肩、肘の故障で戦列からはなれており、2年ぶりの登板となりました。この大会後に、また、病院で診察を受ける事になっています。
初回に「たった1球を投げただけ」で、降板しましたが、「久しぶりに上ったまっさらなマウンド、打たれても悔いがありません。後ろにも良い投手がいるから。」と。
ベンチでハイタッチで迎える
そして、ベンチに帰るとチームメイト等がハイタッチで迎えてくれる。
このシーンに、アマチュア野球の神髄をみせられ、すがすがしく感じました。
記録よりも記憶に残るシーンとなりました。